ポリスと5番目の兄ちゃんの小さい頃
ポリスはいつも幼い彼を守っていた。
ボルドーがスタンドに来る前に、殿下の相棒だった彼等を紹介します。
まず、シェパードのポリス。 ポリスは殿下の3番目の息子さんが幼稚園の時に、ペットショップで見初めて飼う事になり、
殿下の元にやってきたそうです。
殿下はあまり犬が好きでなかったらしく、ましてや3ヶ月で既に大きい目だったシェパードのポリスを飼う事に
初めのうちは自信が持てなかった・・・と話してくれました。
でも、家族として迎え一緒に生活する以上は、ポリスの為にもしっかりとした躾をしなければ!と、
本当に一生懸命だったと、今でもよく話してくれます。
私がポリスと出会ったのは、ポリスが5歳の頃でした。
私は子供の頃から犬が大好きで、幼馴染みのお父さんが警察犬の訓練士をしていたこともあり、
暇さえあればその訓練の現場に付いて行き、訓練の邪魔にならないよう、友達と片隅でシェパードの
果敢な姿を眺めていたのです。
なので、ポリスに出会った時、私が感じていたシェパードのイメージと違う事に少し驚きました。
ポリスはとても人慣っこくて、小さな子供にとても優しい犬だったので、
同じ犬種でも環境や飼い主によって雰囲気が違って見えるのだなぁと感じた事を覚えています。
ポリスがこの世を去ったのは4年前の真夜中。
早朝に犬舎の小屋ではなく、外のスペースで口から泡を吹いたまま息絶えていたのです。
その頃、町内で洋犬ばかりを狙った毒殺が続いていた事が、後から分かるのですが・・・
前の日まで元気だったポリス・・・誰も傍にいない時に逝ってしまったポリス・・・
彼と過ごした日々は殿下にとって、とても大切な思い出です。
殿下は、ポリスが生前大好きだった裏庭の柿の木の下に亡骸を埋め、
「ここなら、皆の事をいつも見られるだろう」と言いました。
その言葉を聞いた時、殿下のポリスへの愛情の深さを痛感し、生前のポリスは幸せだったと、確信したのです。
ドーベルマンの賢さ・美しさ・忠実さを、昔からこよなく愛する殿下は知り合いのお宅のドーベルマンの子犬が生まれた時、
念願のドーベルマンを飼う事になった。 名前は シェリフ
既に、シェパードのポリスが先住犬として3ヶ月目の頃だったそうだ。
しかし、シェリフは殿下のところに2週間しか居られなかった。先住していたポリスの嫉妬が物凄かった為、
シェリフの為にもポリスの為にも、まだ貰い手の多かった子犬の時期のシェリフを泣く泣く手放す事にしたのだそうだ。
ボルドーを飼って間もない時、殿下が私にこう言った事がある。 「ボルドーはお前の犬だ!」
それを聞いた時は、「飼おうと言い出した人が何という無責任な事を!」と思ったのだが、
殿下曰く「ポリスも大事だった、ボルドーも大事だし、ちゃんと育てるよ
でも自分にとっての特別な犬はシェリフだった。意味分かってくれるかな?」
しかし、その時の私には殿下の言わん事がまだ理解出来なかった。
殿下は今でも目を輝かせてシェリフの話をする。
シェリフは殿下の元へやって来た日から、殿下と片時も離れたくないという程の
なつきかただったらしく、朝は殿下の胸の上でお座りをし、顔を舐めて
起こし、彼の行くところにはどこにでも付いて行く甘えん坊だったそうだ。
シェリフは3ヶ月だったのだが、殿下がこうであって欲しいという事にも
応えてくれたという。
「シェリフは、そんなに教え込まなかったのに、
来い!と言ったら僕にめがけ真っ直ぐ走ってきて足元で止まり
お座りをして僕を見上げていたんだよ」
殿下は今でもシェリフに会いたいと言う。
でも、もうシェリフには会えない。
シェリフを手放す時、一時的にシェリフの生家に返し、
その後、新しいシェリフの飼い主さんが決まった事も聞いたらしいのだが、
場所まではあえて聞かなかったのだ。
何故なら・・・会いに行ってしまうかも。。会いたい!という衝動を抑える自信がなかったからだという。
そして去年の暮れ、シェリフがこの世を去ったという事が私達の耳に入った。
シェリフと別れてから約9年も経っていたのに、殿下の悲しみは相当なものだったように感じた。
シェリフとの出会い、そしてほんの少しのシェリフとの時間。
でも、いつまでもシェリフは殿下の中で特別な存在なのだと思う。
言葉ではうまく説明や表現の出来ない特別を感じる思いは、私も今なら分かる。
ボルドーは私にとって特別な存在なのだから・・・
Cooのつぶやき
ポリスとは何度も会っていましたが、シェリフには一度も会った事がありません。
でも、殿下の話を聞いていると会った事があるような気になってきます。
ほんの短い期間でも、おそらく一生忘れられない出会いがあるのだという事も
教えられました。 ボルドーと過ごす時間をこれからも大事にしていこうと思います。